クリスマスプレゼントの話。
幼い頃、この時期になるとサンタクロースがもうすぐやってくる、とそわそわしたものだ。
わたしのところにきたサンタクロースは非常にユーモアに溢れていて、まずわたしのダラダラと長いサンタ宛の手紙に丁寧に次の日の朝返事をしてくれた。24日の朝に返事をもらい、うれしくてその日の夜も書くと25日の朝も返事をくれた。毎年だいたい2〜3日文通していた。
ある年からは、サンタが家にプレゼントを運びにきた痕跡を残すようになった。
窓にサンタのヒゲや手のあとが付いていた。
また手紙と一緒に枕元にチョコレートなどを置くと、次の日の朝包み紙だけ置かれていたりした。
今振り返ってもサンタクロースの記憶はあたたかいものとして心にずっとあるのだが、仕事をしていてよく聞くのは、子どもが○○を欲しいって言ってたのでそれにしました、というフレーズ。
わたしの家は一回も頼んだものが来たことはない。
むしろスイミング体験チケットや、子ども用包丁、腕時計など、なんだこれ…。というプレゼントばかり。
当時のわたしは、なんで自分の家だけはセーラームーンやファービーなど欲しいものを届けてくれないのかとても残念だった。
周りの家が豪華なおもちゃをもらった話を聞くたびに羨ましくて仕方なかった。
けれど今振り返ると、欲しがってたおもちゃを貰わなくて本当に良かったと思っている。
サンタクロースがあげたかったのは
おもちゃじゃなくて機会なのだと伝わるから。
スイミング体験や子ども用包丁など、その機会が与えられなければそもそもわたしの人生の選択としてないものを、サンタクロースがプレゼントしてくれた。
つまりわたしの人生の幅を広げてくれたのだ。
子どもの考えることは柔軟で型破りで斬新だが、人生を広げる機会を子ども自身が創造するのには限界がある。
クリスマスをそのような場として捉えて有効に活用してくれたサンタクロースに心から感謝しているし、だれか保護者の1人でも、プレゼントなににしようかな〜の話を振ってくれたらいつでもこの話したいのに、と毎年企んでいる。